■ フィスコシル(Vyskocil)訪問記 #2 ■  
出張に絡めて再び遊びに行ってきました。
 # バーゼル前の忙しい時に迷惑極まりなし(笑

すでにバーゼルでのレポート等で流れていると思いますが、以下それぞれ簡単にまとめてみました。
Vyskocilの発音
工房アップデート
出来具合とか

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visited: 03/12/05
written: 04/15/05

■ Vyskocilの発音 ■  
さて、今回の最大の懸案であった発音ですが、本人に確認してきました。
# 録音は勘弁してくれ、てことでしたけど(笑

で、結論としては、最も忠実に日本語表記するならばヴィスコツィルあるいはヴィスコチルと聞こえました。
鸚鵡さながらに繰り返してみると、ヴィスコツィル師は「ちゃんと発音できるね」と笑っておられたので、まあそんな感じでよろしかろうと思います。

ただ、ドイツの人たちはフィスコシルと発音するねえ、とのことですし、実際他のドイツの人たちに訊くとそのように発音していましたので、彼も半ば諦めているような感じはあります。
この辺の事情は当然歴史が絡んでいるだろうと予測できるわけで、訊きあぐねていましたが、それを察したらしく、加えて彼の一族の来歴についても話をしてくれました。
簡潔に記せば彼の一族は何代か前にチェコからドイツに来た、とのことで、かの地の歴史を思うになかなかに重いものを感じさせるものでした。

ま、師はその後笑いながら「バーゼルフェアとかアジアに行くとみんな難しくてわからないのかミスター フォルカーとファーストネームで呼びかけるよ」だなんていってましたから、どこでも同じようなものなのでしょうね。
実際、私の苗字も日本人にありがちな4音節の苗字で、日本人慣れしてないと相当発音しにくいようですし(この辺の事情でなかなか愉快な目にも遭います・・・)、こうした現象は世界的にあるのだろうなとは思います。
てなわけで、日本の時計好きのみなさん、せめて彼にはヘル ヴィスコツィルと話しかけてあげて下さい。

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■ 工房アップデート ■  
さて、一部有名時計サイトにあるように、数ヶ月前に新しい機材を導入してましたが、これは三菱電機製のコンピュータ制御の旋盤でした。
理想的なものを作る上でベストな方法を、ということで、完全な手作りに拘っているというわけではない、ということが窺い知れます。
# しかし資金的に大丈夫なのか、と真剣に心配になります。

それ以外に今回新たに見せて頂いたものとしては、プレートの加工用の機材。
これについてはギルト加工だジャーマンシルバーだと我々が大騒ぎして質問しまくってたせいで、若干鬱陶しく思ったようです(笑
つまるところ、
- 素材はジャーマンシルバーである(ただ、同じニッケル合金ですがランゲやグラスヒュッテとは異なる比率だそうです)
- それにパウダーを吹き付けてザラザラにする
- その後金メッキする
というプロセスだそうです。
併せて教えて頂いたのは、懐中を作っていた頃のかつてのグラスヒュッテでは、ゴールドの地板を銀のパウダーで磨いてギルト加工としていたのだそうですが、これを腕時計でやるとザラザラ感が出過ぎるので、もっと細かいパウダーを使っているのだそうです。いわく、ラング&ハイネくらいのサイズならば銀のパウダーでも十分にギルト加工できるはずだ、とのことで、ひょっとするとラング&ハイネではそうしているのかもしれません。

■写真など
新規導入の旋盤
この辺がコンピュータですね
ダイアルのロゴ彫りを実演していただきました

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■ 出来具合とか ■  
注文中の時計についても幾つかアップデート。現在は主にダイアルとブリッジの加工をしているようです。

■ダイアル
昨年のバーゼルでは黒いダイアルが非常に印象的でしたが、あれはプラ製の「とりあえずベース」のもののようで、あのまま使う気はないのだそうで、その後金属製で色々試行錯誤していたそうです。
で、PVDだの酸化チタンだの色々試したけども、結局は真っ黒にならない、ということでかなり凹んでいるご様子。で、逆に試行錯誤の結果、グレーのダイアルは何種類も選択肢が出てきました。
 # グレーでいいか?とも訊かれてしまいました(笑

また、インデックスはアプライドにするというのも数ヶ月前から話としてはありましたが、WG製のインデックスも出来上がってきていました。
新ダイアル接写
ズームアップ
インデックスもできてます
シリアルごとに管理

■ムーヴメント
ムーヴメントには2点改良がありました。
まず1点目は厚み。例の時刻調整のための特殊機構ですが、もともとの設計ではあまりに薄いために耐久性に問題が出てきそうだ、ということで特殊機構の部品の厚みを0.3mm増したようです。
それからもう1点は脱進機周り。
これは非常にややこしい話なのですが、まずは見た目的にヒゲ持ちの形状が若干スリムになっています。で、これは見た目の問題なのかというとそうではなく、ヒゲを固定する場所(ヒゲ玉とヒゲの接続部分)に遊びを持たせることでヒゲの出る方向を調整できるようにする、ということのようです。
微動緩急調整でも結局はヒゲの向きで調整しきれない、というのがこの改良の背景で、フリースプラングに似た効果をもたらしえる、という考えだと説明してくれました。
ちなみにヒゲの固定は腕時計の中でも最も微細な部品のひとつなので、多くのメーカーでは接着剤を使っているとの話を別のところから聞いています。
スイス系では石油由来の化学品を嫌うことからパッキンを使わず、その結果スポーツ系を出さないとかって話がまことしやかにいわれていたりしますが、接着剤使ってるのならそんなにこだわらなくても、と思わせる話ですね。
昔のものはクサビで固定しているようですけども。
ブリッジはちょうどエングレーヴィングしたところ
shirasuさんと私の
順調にできてます

■ケース
ケースにも若干の変更がありました。
まずはケースの厚み。これはムーヴメントの厚みが0.3mm増したことに対応するものです。
いまひとつはケースの裏蓋。こちらはスクリューバックなので、従来はツメを引っ掛ける窪みが6ヶ所ありましたが、これをなくして一体型ケースのように見えるようにしたとのこと。
ケースの素材については、現在製作中の最初のロット5本はプラチナ3本、YG1本、WG1本、とのことです。来年完成の2回目のロットにはなんとSS製があるようですが、これは注文された方のたってのリクエストだそうで、通常対応ではないとのこと。特に値段的に有利になるわけでもないとのことでした。
ま、どうしてもというなら・・・ね。と若干苦々しげなご様子でした。

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