■ グラスヒュッテ(ランゲ&ゾーネとグラスヒュッテ・オリジナル)訪問記 ■  
ドレスデンは開基800年、グラスヒュッテは開基500年ということで、今年は外せないでしょう、てなことで、今回、休みを利用して3年半振りにドレスデンとグラスヒュッテに訪問してきました。
このページではグラスヒュッテの方をまとめてまいります。

ランゲ&ゾーネ見学
グラスヒュッテ・オリジナル見学
ランゲとGOの対比
それ以外のネタ
WEMPE Sternwarte

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visited: 10/17/06
written: 11/01/06

■ ランゲ&ゾーネ見学 ■  
さて、今回は前回の日曜日と違い、平日なので、見学をしてまいりました。
通常は5人以上で申し込まないと見学できないようですが、かなり無理をお願いしてアレンジしていただきました。
ランゲの広報の方に感謝申し上げます。

ランゲの本館は前回の訪問でも紹介してますが、洪水でダメになる前の旧駅舎の正面、駅を出て目抜き通りの1件目になります。
この本館ではまず受付をして、いきなり移動、GOの社屋を挟んで200m先のショールームに案内されます。
このショールームでは過去から現在に至るランゲを中心とした展示と、現行の時計のサンプルがあり、お茶を頂きつつ、その紹介を受けながら、これから見学するにあたり、特に何に興味があるか、どこを重点的に見学したいかをガイドさん(私の時はLange Academyの所長という肩書きの女性)と相談していきます。
# たぶん予め決まっているコースのうち、どこに時間をかけるかだけが問題のような感じではあります。

で、サンプルの中には無造作にtourbographの1号機もあって、そんなわけでトゥルボグラフを弄り倒してまいりました。
ショールームの入り口に1920年の記念碑が埋め込まれてます
このショールームで最も複雑な時計・・・柱ですけどね
美しいアストロラーベ
再興後に集めたと思しきかつての懐中も数多く展示されています
ランゲマティック・エマイユのダイアルの製造過程も
トゥルボグラフ、弄らせていただきました
ちゃんと1/51でした

どこを見たいか話がまとまると早速移動するのですが、ショールームのある建物の周りにはランゲの建物が4軒ほど固まっていて、ここを回っていきます。
順路としては地板磨き(ペルラージュ)→部品仕上げ→一次組み上げ→洗浄→二次組み上げ→精度テスト→ケースという流れで、実際に作業をしている中を練り歩いて作業中の皆さんに迷惑をかけながらの見学です。
# 見る方は楽しすぎなんですが、やってる方は絶対に嫌だろうなと思うほど至近距離でした
やはりハイライトは(というか、是非見せてくれとお願いしていたわけですけど)、新モデルのリヒャルトランゲのヒゲゼンマイの製作過程で、ヒゲゼンマイの曲げ具合を一人の時計師が顕微鏡見ながらやってるところは流石に唸りました。いや幾らなんでも微妙な巻上げ具合は手作業では品質管理大変だろう、と思ってたんですが、そうではないそうで、ダトグラフやダブルスプリットもあのコマゴマした部品はすべて手作業で仕上げているようです。
何が上手いって多くの人数が関わっているとはいえ、誰が作ってるのか、ってのが身近に感じられるようなプレゼンテーションになっていて、ドイツ語が出来ればヒゲゼンマイ曲げている人にだって質問できる、というのは大手ながら手作り感を演出するという点において非常に効果的でした。
地板とペルラージュの見本。すべての部屋にどういう作業をやってるかについてこのようなサンプルがあります
ヒゲゼンマイも自前で加工してるのがわかります
展示の合間にこういうスクールの卒業制作のものがさりげなくあったりします
リヒャルト・ランゲの生ムーヴメント

一通り見終わると本館に戻ってくるのですが、本館ではエングレーヴィング、傷付いたケースの補修、懐中の修理などを見学できるようになってます。
エングレーヴィングは先日、日本橋三越に偉い人が実演に来てましたけど、その人以外に男性1人、女性3人がいて、ランゲの時計を見せると誰が彫ったかを判断してカードにサインしてお土産に持たせてくれたりします。
補修のところも非常に興味深く、楽しめますが、ここでは何といっても懐中の修理で色々な話が聞けます。
ここでいう修理は単なるオーバーホールではなく、ケースやダイアルの再生を含みます。ランゲをはじめとするグラスヒュッテの懐中に多い二度の大戦と戦間記のインフレでケースがなくなったというのが多いわけで、ここでは、ランゲ家の台帳を元に、どのようなケースが使われていたか、どのようなダイアルだったか、どのような針だったかを調べ、数ヶ月かけて再生する、というのを旨としています。
専任の方が3名ほどいらっしゃいましたが、色々懐中についてお伺いすると目をキラキラさせながら熱く語って下さいます。通訳通してしか理解できないので本当のニュアンスがわからないのが大変残念でした。
ただのアーカイヴの提供ではないのが素晴らしいですが、しかし値段を聞いたところ、おいそれとは頼めない金額だったりして、パトロンがほしいところであります。

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■ グラスヒュッテ・オリジナル見学 ■  
グラスヒュッテ・オリジナルは3年前に訪問した時にはまだ社屋は工事中でしたので、今回初めてその建物を見ることができました。
雑誌に写真がバンバン出てるんで何となく想像はできてたとはいっても、入ってみてホールの広いのと吹き抜けとで開放感ありまくりなところは流石に驚きます。バスケかバレーなら1面、フットサルなら2面、卓球なら8面取れそうな感じですかね。
定礎?
2Fからロビーを見下ろしてみる

ルートはランゲと同様、地板を刳り抜くところから仕上げまで、という流れを見学する形ですが、いきなり地板の刳り抜きは放電加工です、と最先端の技術を誇る話から入ります。
その横で刳り抜いたのを機械を使って磨いてるわけですけど、あの機械はGUB製ですよね?と訊いたところ、そうですよ、過去の遺産はちゃんと大事にしています、との答え。案外トラディショナルなのに無理に最先端に見せてないか?という感じを受けなくもないですが、古い機械をあちこちで見せていただいている身からすると、古い機械を見るのはやはり楽しいです。
ブリッジの刳り抜きは36個同時にプログラムしてやってるよ、バリとかのチェックもプログラムでやってるよ、でもチラネジをテンワに嵌めるのは手作業だよ、とハイテクから職人技まで見事にミックスした感じでテンポ良く進みます。
# てか、ランゲと違って突っ込んだ質問はかなりはぐらかされてしまいます。
地板を刳り抜く放電加工
でも磨くのはGUBの機械で手作業だったり
脅威の36個同時カッティング ←ヴィスコツィルでは最近ようやく5個になっただけ
見事な見学用の設備ですね
こんな感じで各パーツの説明があります
チラネジ付きテンワも
Julius Assmannモデルのブリッジも展示

ひとつ面白い話だったのは、2008年春に向け、時計博物館の大々的な改装が計画されている、ということで、スウォッチグループのHayek総帥とグラスヒュッテの町とそれ以外の有志とが持ち寄って現在作業中とのことでした。
自信を持ってオススメするので是非また来てください、といわれましたけど、そこまでいうならきっと相当のものだろうなあと期待してしまいますね。

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■ ランゲとGOの対比 ■  
とまあ斯様にランゲとGOを立て続けに見学したわけですが、ここで面白かったのは両社のプレゼンテーションの違いで、ランゲが実際の作業の現場に立ち入って、作業しているそのままの部品を見たり触ったり、現場の人と会話もできたり、とにかく手作業・手作り・顧客との対話を強調するプレゼンテーションであるのに対し、グラスヒュッテ・オリジナルはルートも、見学の流れもシステマティックである上に、ハイテクであることを誇る表現が随所にみられるプレゼンテーションである、という極めて対照的なアプローチだったなあ、ということでしょう。
ブリッジや地板を切るのはランゲでは見せてくれませんでしたが、磨きの工程を眺めている限り、刳り抜くのはプログラムで自動的に切っているように推測されましたし、また、グラスヒュッテオリジナルの方は組み上げやテストは、個人の才能にほとんどを頼っているわけで
もし私の観察の通りなら、どちらも機械で行う作業と手で行う作業の比率は多くは変わらないだろうし、実質的な差は二度組みをするかどうかと、部品の仕上げの水準なのかなという感じではあります。
また、ランゲもルートも質問に対する答えも決まってるのであれば、どちらの会社も非常に巧妙に印象操作に成功している、といえそうですね。

気付いたところをかなりつまらないところも含めて記すと、こんな感じでしょうかね。
- 見学ルート:ランゲは割と気分で変えている感じ(実際にはそうではないような)、GOはエレベーターまでルートが決まっている
- 現場との距離感:ランゲは現場の中、GOはガラスで区切られている
- 作業スペース:ランゲは机メインで小工房風、GOは大きい作業場にGUBの大きい機械をバンバン並べている。GOはハイテクも見せる
- 質問に対する回答:ランゲは想定問答集なさげ、GOはマニュアル完備っぽい
- 移動方法:ランゲは階段、GOはエスカレーター
- 従業員の時計:ランゲは自由(クォーツが多いのにビックリ)、GOは全員GO

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■ それ以外のグラスヒュッテのネタ ■  
今回、嬉しいことにランゲとGOの見学ができたわけですが、他は残念ながら見学は出来ませんでした。
まあでも面白い発見が幾つかあったので記しておきます。
地図があった方がわかりやすいでしょうけど。

- グラスヒュッテの駅が改装されてノモスの新社屋になっている。ってこれは有名な話ですね。
- 駅前の広場のランゲの反対側はケースメーカーのSUGが入っている
- 洪水でダメになったノモスの旧社屋は現在ヴェンペの開発・製造部隊が入っている
- hauptstrasseをランゲの先、駅と反対方向に行くとノモスのショップがあって限定モデルを売っているとの噂がある(私が行った時は休んでました)
- そのノモスショップの先を左に入るとHemessがある

ノモス新社屋
駅前の道程表
ノモスショップ
Hemess
SUG
# なんでもいいけどえらいいい天気ですね

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■ WEMPE Sternwarte ■  
グラスヒュッテの町を一通り見ているうち、そこかしこの道標に"Sternwarte"とあるので、おぉもしや、と思って行ってみると、山の上に例のWempeの天文台がありました。
後から聞いたところでは然るべきルートからWempeにお願いすれば見れたらしいですが、まあ気持ちの良い場所なので道端に座って休憩して帰ってきました。

Wempeの方に聞いたところでは今はCOSCのキャパシティがパンパンだそうでドイツ基準で同等の精度を達成するのが目的だとか。
将来的には他のメーカーにもオープンにしていきたいようです。
山の上に佇む天文台
グラスヒュッテの町を見下ろせます←写ってませんが右下の方にGOとかランゲとかがあります

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